トラブル事例と対策
外国人雇用ではトラブルに発展しやすい要素があります。発生しやすいトラブルやその対策方法について紹介していきます。
なお、以下、外国人技能実習生と特定技能外国人を「外国人社員」と称します。
外国人は、日本の法律や日本独特の暗黙の了解などの習慣をそもそも知りません。当組合では、外国人社員に対して約1か月間の入国後講習を実施し、日本企業の慣習や日本の文化などを講習し、外国人社員にそれらを周知し理解を促進していますが、事例のような問題が時折発生します。
その際、現場で「勤務態度が悪い」「職務規定に違反している」と注意しても、外国人社員の個々の日本語力の差により伝わらないこともあります。対策として、就業規則や職務規定などの社内ルールは母国語を併記した書面にし、本人に説明しながら一緒に確認することが重要です。
外国人を雇う際には、まず彼らの日本語能力や文化的な理解度を確認し、コミュニケーションの問題を予防することが重要です。そのため、初めて雇用する場合は、日本語が堪能な外国人を優先して雇用しましょう。
さらに、彼らとの円滑なコミュニケーション改善のために、上司や同僚が言葉の間違いや考え方のギャップをその都度フィードバックし、お互いの文化の理解を深めることが役立ちます。
また、仕事中のコミュニケーションを日本語で統一することも効果的であり、外国人の日本語能力の向上だけでなく、職場でのミスコミュニケーションの減少により、職場全体の生産性が向上し、円滑な業務遂行が可能となります。
企業配属前には、専門担当者による講義を通じて、業務に必要な日本語表現やビジネスマナー、社会文化に関する知識を教え、新しい環境にスムーズに適応できるよう支援しています。
また、配属後には、個々のニーズやレベルに合わせた日本語能力向上の講義を実施し、日常業務でのコミュニケーション力の向上をサポートしています。
海外でも職場内のコミュニケーションが重要です。日本人であろうと外国人であろうと、その重要性は変わりません。
コミュニケーションの方法も「言葉」によるものと、「ジェスチャー」によるものとありますが、「ジェスチャー」については、情報の意図が正確に伝わることもあれば、逆に全く意図していなかったメッセージとして伝わってしまうこともあります。
また、外国人社員が複数名在籍した場合、同じ国の出身者同士でかたまったり、社内のコミュニケーションも母国語で取り合ったりすることで、日本人社員と外国人社員間の雰囲気が悪くなるということもあります。
対応として、外国人雇用が初めての場合は、日本語が十分に話せる外国人社員を採用する。また、「仕事中は日本語を使う」などの社内ルールを設けると良いです。
仕事中の日本語使用をルール化することは、外国人社員の日本語力を向上させることにも役立ちます。また、外国人社員が同じ国の出身者同士で固まってしまう職場とならないように、外国人社員が日本人社員となじめるように、定期的な食事会を開催するなどして、コミュニケーションが生まれる機会を提供すると良いです。
外国人社員が複数名所属する職場では、同僚の外国人社員同士でお互いの給料を把握しようとします。
特にボーナスについては、「私の方が先輩なのになぜ、後輩よりもボーナス額が低いのか」、「同じ仕事をしているのに、なぜ私のボーナス額が低いのか」、「他社で働く知人のボーナス額は○○円なのに、私は○○円だった」など不満を漏らす外国人社員が多くみられ、ボーナス支給をきっかけに会社への不信感が生まれることもあります。
対応策としては、評価基準をできるかぎり明確にしておくことと、現場の職長等が基準をしっかり理解をして、いつでも説明ができるようにしておくことが重要です。
必要に応じて、外国人社員に個別面談して評価を説明することも有効です。当組合の経験上、「ボーナスの話は他の同僚、他社の知人とはしないでください」と説明しても効果がなく、必ず見せ合い、話し合いますので、注意してください。
外国人は転職に対する認識が日本人とは違います。
日本の企業には、同一企業での長期勤務を評価する傾向がありますが、外国人にとって、転職は非常にポジティブで、会社への不満がまったくなく、愛着や忠誠心があったとしても、自分のキャリアアップとは別と割り切っておりますので、「自分の能力が活かせない環境だ」、「もっと稼ぎたい」、「生活環境を変えたい」と感じると、転職してしまうことがあります。
そのため、「先日の面談で ”この仕事は楽しい ”と言っていたのに、なぜ?」というタイミングで退職を希望することもあります。
対応策としては、「なぜ、いまこの仕事をしてもらっているのか」、「将来はどのような役割を担ってほしいと考えているのか」、「そのためにどのようなスキルや経験を身につけて欲しいのか」といったコミュニケーションの機会を積極的に増やすことが重要です。
外国人の来日目的の中に、「お金を稼ぐ」ことがあります。そのため、残業への認識が日本人とは違い非常にポジティブです。
しかし、日本では労働基準法、労働関係法令、企業の労使協定等により残業時間の上限が定められているため、上限時間を超えた残業は違反となりますので、外国人社員への周知や教育が重要です。
それらを疎かにすると、残業できない不満から「他社ならもっとお金を稼げる」などのブローカーの誘いによって、失踪問題に発展する可能性もあります。対応策としては、外国人社員は日本の法律や労働環境について詳しく知らないことを前提に、社内の労務担当者等から外国人社員へしっかりと教育することです。
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